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【燃えろ!!デブ野球】第17回 山川穂高、大型スラッガーは自身のステーキ弁当が発売されてからが勝負だ!

燃えデブ第17回は首位西武のレオパルドン打線を牽引する4番バッター山川穂高!

スピルバークに感動しながら、ひとり立ち食い寿司屋で思う

 あの頃、20数年後の未来は憧れだった。 

 90年代前半、ビデオテープに標準録画した日曜洋画劇場の『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』を飽きずに何度も観賞する度、舞台となる2015年の未来がキラキラして見えたものだ。空を飛ぶ車や宙に浮くスケボー、本当にあんな未来が来るのか想像するだけで楽しかった。それが、大人になってIMAX3Dの巨大スクリーンで『レディ・プレイヤー1』で描かれる2045年の未来に触れると、「もはや普通にスマホやPlayStation VRもあるし、まあこんな感じになるかもね」と自然にリアルさを受け入れてしまう。

 『レディ・プレイヤー1』の登場人物たちは暇があれば専用ゴーグルを装着し、VRワールド“オアシス”で自身のアバターになりきり世界中の人々と異文化交流。その空間でカーレースや格闘バトルを繰り広げ、クラブでダンスまで踊れるなんでもありのバーチャルリアリティ空間を人々は楽しむ。多くのポップカルチャーのキャラクターを操作することも可能で、劇中にも日本発の有名アニメのキャラや武器が登場する。AKIRA、ストツー、さらにみんな大好きあのモビルスーツまで…好き勝手詰め込んで物語を破綻させないスピルバーグ監督はやはり天才だ。人は70代になってもこれだけのものを作れるんだなとほとんど感動しながら、帰りひとり立ち食い寿司屋で炙りびんちょうや焼きゲソをつまんだ。

いしいひさいちに『がんばれ!!ヤマカワくん!!』を描いてもらいたい

 そう言えば、この映画の原作小説『ゲームウォーズ』ではスパイダーマンが乗る巨大ロボット・レオパルドンが登場するが、現在日本球界を席巻するのはチーム打率リーグトップを誇る埼玉西武ライオンズの“レオパルドン打線”の新4番バッター山川穂高である…っていやレオパルドンと言えば『キン肉マン』のビッグボティチームの次鋒でしょなんつって、今週も強引にグオゴゴゴと『燃えデブ』が始まった。

 西武の背番号33は、打率.350 11本 33打点 OPS.1.353 得点圏打率.583(4月29日終了時)と三冠王時代のオレ流落合に匹敵する凄まじい成績で現在打撃二冠をひた走る。身長176cm、108kgのゆるキャラ系26歳。昨季は78試合で23本塁打だったが、8月に9本、9・10月には10本塁打と夏場以降にホームランを量産。2か月連続の月間MVPに輝いた勢いを2018年も持続している。“おかわり君”こと中村剛也から西武伝統ぽっちゃりスラッガー枠を継承した男。その活躍に“おかわり2世”なんて愛称はほとんど聞かなくなった。あだ名は地元沖縄の豚繋がりでアグー。もはや誰かの2世じゃなく、立派な4番山川である。いしいひさいちは西武時代の田淵幸一を主人公に『がんばれ!!タブチくん!!』という名作漫画を生み出したが、山川の愛嬌のあるキャラクターも『がんばれ!!ヤマカワくん!!』というスピンオフ作品を描いたら新規ファンの獲得に繋がるのではないだろうか。

GWから『山川のちゅんじゅくステーキ弁当』が発売

 沖縄県那覇市出身、岩手の富士大から13年ドラフト2位で西武入り。『野球太郎 2013ドラフト総決算号』によると、中学入学時は150cm、50kgの標準体型が、卒業時には175cm、100kgのワガママボディへと急成長。好きな選手は中村剛也、村田修一、中田翔。さらに落合博満の著書に影響を受けたという。挙がる名前すべて右のぽっちゃり系スラッガーという己の進むべく道を分かっている男である。

 シーズン65本、200打点ペースで大暴れし続けるアグー山川だが、大型連休の4月28日(土)から、本拠地で自身がプロデュースした『山川のちゅんじゅくステーキ弁当』(1500円)を販売開始。西武公式サイトの紹介によると「ちゅんじゅく」は、沖縄の方言で“思い切り”や“力強く”という意味で、打席に立った時は他の選手から「ちゅんじゅく打てー!」ともエールが飛ぶという。牛サーロインを使用したステーキだけではなく、定番の沖縄料理「ゴーヤーチャンプルー」や、そうめんと野菜を炒めた「ソーミンチャンプルー」も入った沖縄グルメ満載の新弁当だ。

 そう言えば、以前この連載で取り上げたロッテのアジャ井上も自身のプロデュースメニュー『豪快ホームランステーキ丼』(800円)が今季からZOZOマリンスタジアムで販売されている。なんとまさかのステーキかぶり。分かりやすすぎる、デカイ=豪快=ホームラン=ステーキというシンプルな公式。いつの時代も、大型スラッガーは自身のステーキ弁当が発売されてからが勝負である。だから巨人も早く岡本和真の肉系メニューを緊急発売した方がいいと思う。

 所沢と千葉で勃発した次世代ステーキ戦争。この季節、外で頬ばる肉はなにより美味い。俺もステーキ弁当は部屋よりも、球場で食いたい。できれば、山川のホームランを眺めながら。

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