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【燃えろ!!デブ野球】第13回 アジャ井上の2打席連発弾!いつの時代もデカいことはいいことだ

燃えデブ第13回は現在NPBで日本人選手最重量を誇るロッテの新4番アジャ井上!

少年ジャンプとプロ野球は世代の指標なのだ

  

 1990年代、発行部数653万部の衝撃。

 先日、東京・六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催中の『創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.2』へ行って来た。ドラゴンボール、スラムダンク、幽☆遊☆白書、ろくでなしBLUES、ジョジョの奇妙な冒険、こち亀あたりまでは世代的にドストライクで懐かしさも半端ないが、90年代末ゾーンになると個人的にリアルタイムのジャンプを卒業しつつあった時期なので、“名前は聞いたことあるけどちゃんと読んだことがない”漫画が増えてくる。

 『遊☆戯☆王』コーナーでは若いカップルが「小さい頃、カード集めてたよ~」と盛り上がっていたが、俺は死亡遊戯なんて名乗っていても『遊☆戯☆王』の内容は記憶にないし、アニメにいたっては1秒も見たことがない。いまだに夜寝る前にベッドでドラゴンボールやこち亀のジャンプコミックスを読んでいるにもかかわらずだ。10歳、いや5歳違うだけで、当然見てきた漫画もズレてくる。少年ジャンプとプロ野球は世代の指標だ。かつて、日本にそんな時代があった。なんつって帰り道、新橋の地下街にある『市松』でうな丼をかきこみながら、今週もハングリーに『燃えデブ』が始まった。

NPB日本人最重量・井上の選手名鑑を調べてみると…

  
 そして2018年プロ野球も始まったわけだが、やはり本連載的に開幕シリーズで目立ったのはロッテの“アジャ”こと井上晴哉だろう。負傷の角中の代役として「4番一塁」で起用された開幕第2戦で自身初の二打席連続アーチを記録。驚いたのは、この2発でシーズン自己最多タイの本塁打数に並んだという事実だ。昨年までプロ4年間で通算4本塁打…えっ? 思わず、いくつかの選手名鑑を見てみたが、やはり4本だった。13年ドラフト5位でロッテ入り、開幕戦で球団64年ぶりの新人4番に抜擢されるなど期待されたが伸び悩み早5年目に突入。にもかかわらず、成績以上にアジャ井上という名前は巨漢スラッガーとして野球ファンには浸透している。

 なぜなら、とにかくデカいからだ。180cm、114kg。千葉ロッテマリーンズの公式サイトの選手名鑑を確認すると、これだけは誰にも負けないセールスポイントとして「NPB日本人最重量」。趣味・特技は「アメフト観戦」とデカさ溢れる自己アピールがてんこ盛りだ。今年見てほしいところは「スーツの時のオールバック」となんだかよく分からないギャグをかます背番号44。意外にも好きなアーティストはPerfumeである。

 89年7月生まれの28歳、89年6月生まれの巨人・小林誠司とは日本生命時代の同僚で同い年だ。ちなみに小林はプロ通算10本塁打とアジャの倍以上のホームランを放っているという事実。やはり、痩身イケメンは野球選手としてイメージで損をしてる気もするし、身体のデカさは「なんか打ちそう」的な印象に繋がりやすい。なにせZOZOマリンスタジアムで今季から発売開始されたアジャ井上プロデュースメニューは『豪快ホームランステーキ丼』(800円)だ。ここでキャリア通算たったの6本塁打なのに…なんて真っ当な突っ込みは野暮だろう。恐らく、アジャ=デカイ=豪快=ホームラン=ステーキ丼というシンプルな公式。いつの時代もデカいことはいいことだ。ただし、隣のデスクの夏来唯みたいなOLさんに「今日もデカイね」なんつって挨拶したらセクハラ告訴は避けられないので、新社会人の多いこの季節は皆さんも注意してほしい。

デカくて楽しくてパワーがあって少しドジ。そんなキャラクターが井上なのだ

  
 そんなアジャ井上と言えば、キャンプ地で出会った女性ファンと結婚したことで知られている。新人の年の沖縄・石垣島キャンプで握手した半年後に本拠地球場で再会して交際スタート。さらにその半年後には入籍のスピード婚だった(15年3月4日付サンスポより)。まるでラブコメのようなほのぼのとしたエピソードに加えて、開幕2戦目のお立ち台では自チーム監督のことを「井口さん」と呼ぶおおらかな性格。井上晴哉の特徴をひと言で書けば「分かりやすさ」だと思う。90年代の少年ジャンプ黄金時代の漫画キャラクターのような、客席のどこから見ても判別できる分かりやすさ。デカくて楽しくてパワーがあって少しドジ。そう言えば、『ろくでなしBLUES』にも帝拳高校の輪島や石松、米商の島袋、渋谷楽翠学園の上山と多くの巨漢&デブキャラが登場する。輪島、石松、島袋、上山、アジャ井上。この並びの違和感のなさはなんだろうか。

 基本的に打撃重視の一塁やDHでポジションを争うライバルは助っ人外国人選手が多い。それなりに打つじゃ使ってもらえないリアル。打って、食って、打ちまくる。もう春だけ男のスプリングスラッガーなんて言わせない。“友情・努力・勝利”で、アジャ井上の今度こそ「4番一塁」を死守するシーズンが始まった。

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