Fashion

コーディネート編、シルエットに焦点を当てる〜緩/急〜

こんにちは、ファッションライターのぞのです。早速ですが前回の緩/急のバランスについて更に細かく言及していきたいと思います。
緩/急というのはコーディネートのバランスを取る上でのガイドとして役に立つものとして提案しました。元々ファッションの世界では様々な知識やスタイルの裏に存在していたもので、それを少し噛み砕いたものです。
 

ファッションには定義がある

世間ではドレス/カジュアル、カッチリ感/ヌケ感、きちんと感/こなれ感、甘/辛などと様々な形や視点でバランスを取るための言葉に置き換えられて定義付けされていますが、緩/急と表したのにはそれなりの理由があります。
何故ならポチャメンは体のラインが緩いからです。
緩はなんだかポチャメンの皆さんには既視感がありませんか?緩は前提のようなもので感覚的にわかりやすいですね。

この先の話に進む為に緩/急の定義を今一度示し合わせましょう。
きれいめ、フォーマル、コンサバ(ティブ)、清潔感、などファッション情報でよく耳にする言葉の中で、私はこれらのきっちりしたイメージを緩/急のうちのの要素と考えています。
それではの部分は?ラフ、カジュアル、アヴァンギャルド、野性味など反対要素としてはこんな感じでしょうか、全体的に社交的というよりは少し気が抜けているイメージです。この二つのイメージを比較すると急の部分より緩を表す言葉自体はあまり推されていないように感じます。
何故ならファッショナブル、オシャレに見せる為により求められているのは多くの場合は急の部分だからです。

 

人間の習性をファッション的に見てみると…

人間は楽な方に流される生き物、ポチャメンも例外ではなく、その考えを基にクローゼットの中がキッチリと見える服ばかりなるなんてことはありませんよね?
スウェットにTシャツにデニムにチノパン、そんなものが多くなっていくのではないでしょうか?そういった部分に意識的に急を挿すことでバランスとして新鮮でオシャレに見えてくるし、コーディネートを見た人に『この人は楽がしたいんだな』という考えより『コーディネートにこだわりがあるんだな』という考えを起こさせるバランス構造でもあります。
そして今移りつつあるトレンドの中でも基本的なバランス感覚は急の方に寄ってきているのが世界的な流れです。

このトレンドの仕組みを理解できているポチャメンの皆さんはそのトレンドの流れに従ってコーディネートを組んでも違和感は特に出てこないと思います。
しかし、あくまで自分の気に入ったアイテムにこだわる方やカジュアルなアイテムが好きなポチャメンの皆さんはある事に気を付ける必要があります。

 

ポチャメンはシルエットが緩い

ここでポチャメンに絡めた緩/急の話に移りましょう。お腹が出ている、肥満度指数がプラス、という人間の割合は多くてもMr.Babeに出てくるようなレベルのポチャメンはアメリカやメキシコならまだしも日本には割合としては少ないと思います。
そうするとその少数派に対して一般的なバランス感覚を当てはめるのは少し違和感が出てきます。
その正体はこちらで用意した画像を見ていただければわかりますが、同じアイテムを同じサイズ感で着ているのにポチャメンは体のラインが緩く、前提として緩に寄っているので、バランス感覚が少し特殊なのです。

元々のラインが緩だとファッションにどういう影響が起こるか?
例えば全身ピッタリした服を着てかっこ良く見せよう!と意気込んでもアリアリと体の緩のラインが出てしまいます、スタイルとしてナシではないですが、体型を生かすというよりは変に目立ってしまい特別ポチャメンと相性が良いコーディネートとは言えません。
他にも問題はあり、使うアイテムのバランスを緩/急でいうところの5:5で選んだつもりでも印象自体は6:4、7:3のバランスと意図しない方向に偏り、体のラインが変数のような働きをしてしまいます。

これがカジュアルなアイテムが好きなポチャメンならなおさらカジュアル過ぎる格好になり、いくらアイテムに技巧が施されていて素晴らしいマウンテンパーカーを着ていようと『そういうアイテムが好きな人』とか『アウトドアガチ勢』とかオシャレ以前の印象が付いてしまい、コーディネートの中に目立たせたいアイテムを比較する要素、引立てる要素が不足しているせいで偏った独りよがりなコーディネートになってしまいます。端的に言えば洗練さに欠けるという感じですね。

 

解決方法は?

緩/急のバランス×緩ラインボディの問題が見えてきたので解決編に移りましょう。
体のラインが緩ならばコーディネートの緩/急のバランスを急寄りの見え方にすれば良いのです。
初めは様々な要素を加味した上でアイテムの緩/急どちらか見極めは難しい、という方は画像の右側のコーディネートのように、とにかく基本的にきっちりと体格にあった急シルエットを出せるようなアイテム同士を合わせるのが良いでしょう。
左と右でパンツだけ緩を急へ変えただけでもイメージがスッキリとオシャレに見えるかと思います。ポチャメンとはいえ足首は体の中でも細い部分なのでジャストサイズの9分丈パンツを履いても急シルエットが実現できます。

 

絶対的なバランスは存在しない

ファッション的に考えると時代に左右されないコーディネートのバランスのうち、それぞれの良さを引き立て合う比率は5:5が丁度良いラインとされています。しかし何事もケースバイケース、ファッションも同様です。
5:5のバランスから4:6、3:7、2:8とその時々に応じて変える必要があります。

例えば目的が動物園などアクティブに動く時は多少機能性を考えた格好が好ましいですね、そこでキメすぎるのは場違いな感じがしますよね?少なくともあえてスーツを着ていく人は中々いないでしょう。
逆にデートでかしこまったレストランに行くなどの目的になれば動きやすくてラフなスウェットを着ていくべき!なんて発想は出てこないと思います。
TPOもありますが、この記事ではポチャメンの体型に合わせて考えているので緩/急が5:5のところを急の要素を多少増やして4:6、3:7とするとオシャレに見られやすいです。

服はあくまで服、動きやすかったり着やすかったりすれば良い、と思っている人はまだまだ多く緩くになりがちで、近年までの流行も一風変わっていて癖があるものが多かったので、そこにつけこんで少し急の部分を増やすと差別化を図る事ができ、よりオシャレに見られやすいという仕組みです。
今のトレンドは急寄りなので、ポチャメンの皆さんがそれに合わせてコーディネートを組んでも違和感が出ないと言ったのは急寄りのアイテムと体の緩いラインでバランスが取れる為です。

 

締めの小言

いつもなら全体的に気を抜きがちなコーディネートな方は、この機会に緩いジーンズを合わせるところにスッキリしたスラックスを合わせてみたり、スニーカーをあわせるところにローファーを使ってみたり、新しく緩/急の急の要素を多めに取り入れてみてはいかがでしょうか?
それでは、ぞのでした。

ぞの プロフィール
「デブでも、デブだからこそ」の両方の考えを持って世のデブをオシャレにしたい非デブ。
研究の為に大きい服を購入して知人のデブに着せてデータを取るほど「デブ×ファッション」の可能性を信じていて、ファッションからその人となりを考えるのが最高のコミュニケーションだと思っている。