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リアルでシリアスな楽天・浅村の誕生に「平成の終わり」を見た【燃えろ!!デブ野球】第46回

燃えデブ第46回は埼玉西武から楽天へFA移籍した28歳・浅村栄斗!

しみったれた世の中で忘年会を開催……いつの時代もおっさんはシリアスだ。

 30代中盤あたりから、一人で出掛けることが多くなった。

 いきなり吐血レベルの暗い書き出しだが、それぞれの事情で忙しくなり友人とも時間が合わなくなってくる。今は映画もライブも全然一人で行く。毎年、秋のプロ野球ファンフェスも、観戦仲間と年内最後の野球イベントとして楽しんでいたが、最近は皆結婚や出産ラッシュで集まりが悪くなり足が遠のいた。親は老いるし、子供もまだ手が掛かる。かと言って、下手におネエちゃんに手を出したら仕事を失う現代社会。ちきしょう、しみったれた世の中だ。だから、おっさんはやたらと忘年会をしたがるのである。

 いきなり話が飛躍してるが、日取りをガチで決めて集まらないと一生会えねぇぞと危機感を覚え、イベントとして参加するあの感じ。学生時代のように深夜に友達の部屋へ行ったら、誰かがペヤング片手にウイイレ対戦をやってるみたいな能天気な時期は過ぎちまった。いつの時代もおっさんはシリアスだ。昔一瞬だけ巨人に来た助っ人、それはアリアスだ……なんつって、今週も『木曽路』でしゃぶしゃぶを腹一杯食いながら忘年コラム『燃えデブ』が始まった。

楽天移籍の決断理由は、はっきり言って浅村本人にしか分からない。

 それにしても今年のストーブリーグは熱い。その最大の理由は「20代の大物選手が国内移籍市場に出た」からだろう。iPhone3Gが発売された2008年夏、第90回大会の甲子園で注目の高校球児が、1回戦の日田林工戦で6打数5安打2打点と大暴れした大阪桐蔭の1番ショート浅村栄斗。仙台育英の“赤星2世”こと橋本到は、菰野高のエース西勇輝から5打数5安打の固め打ち。彼らは皆28歳となり、今オフの去就が注目の選手たちだ。気が付けば、その世代が移籍市場の主役を張っていることに時の流れを感じてしまう。4年20億円以上とも報じられた大型契約で埼玉西武から楽天へFA移籍した浅村栄斗も90年生まれの28歳である。今季は143試合、打率.310、32本塁打、127打点、OPS.910、得点圏打率.369という素晴らしい成績を残し、自身2度目の打点王を獲得。キャプテンにして、パ・リーグを代表する“打てる二塁手”だ。

 はっきり言って、移籍の決断理由は本人にしか分からない。GM含め元同僚がいるとか住環境が気に入ったとか、理由はひとつじゃないだろう。ただ、ひとつ言えるのは老舗球団と新興球団、それぞれのメリットとデメリットがあるということだ。ライターで言えば、老舗出版社が持つ媒体とwebの新しいサイトで書く際に、読者層やギャラ面含め環境はやはり違う。積み重ねた歴史は馬鹿にできない。だが、有名媒体で書き過ぎると時々スポイルされそうになる。見えない暗黙のルールも多く、それに合わせていると結果的に媒体に飲み込まれそうになるのだ。で、思った。巨人にFA移籍する選手で活躍できる大物が少ないのは、その歴史や環境にスポイルされてしまうからではないだろうか? 歴史は伝統とも言えるが、時に重い足枷にもなる。あの清原和博でさえ、巨人に飲み込まれてしまった。

 で、西武でその清原と同じ背番号3をつけたちょいポチャ中島宏之……のことは置いといて、浅村は楽天を新天地に選んだわけだ。「メジャーならまだしも、国内の同一リーグの新興チーム。巨人で言ったら坂本がDeNAにFA移籍するようなもんだぞ。飲まずにいられるか」とは知人の西武ファンの台詞だが、ふと「一昔前なら、浅村はポスティングか、近い将来の海外FA取得まで待って躊躇なくメジャーに行っていたんじゃないか?」と思った。外野手のイチローとゴジラ松井の二人は20代後半のピーク時に海を渡り、内野手では西武の先輩・松井稼頭央は2003年オフに今の浅村と同じ28歳でニューヨークへ飛んだし、ダイエー時代の井口資仁は30歳になったばかりのオフにホワイトソックス入り。岩村明憲もメジャー挑戦は27歳だ。浅村も来年11月で29歳。いわば、今が売り時である。

浅村や丸クラスで国内なら、今後日本人野手でメジャー移籍する選手は誰になるのだろうか?

 懐かしのドラマ『やまとなでしこ』の松嶋菜々子演ずる桜子さんの有名な台詞を借りると、「女が最高値で売れるのは27。私の統計では27歳が売り時のピークなの。それを越えたら値崩れを起こすわ」というロジックはプロ野球選手も変わらない。けど、西武の元主将はあっさり国内移籍で完結した。89年生まれで29歳の広島・丸も今の流れなら残っても動いても国内だろう。大谷翔平の二刀流という規格外の天才は別として、浅村や丸クラスでこれなら今後日本人野手でメジャー移籍する選手は誰になるのだろうか? 

 2018年のストーブリーグの流れは、プロ野球界も世代がひと回りしたんだなと実感する。21世紀初頭の日本球界を席巻した、なにがなんでも這ってでも憧れのメジャーリーグへという時代は終わった。いや、平成という時代が終わる象徴でもある……なんつって格好つけてる場合じゃない。MLBもNPBもフラットに条件で選ぶ。投手ならまだしも野手で大型契約は望めない。となると、転職活動の一環として現実的な選択になってくる。

 俺らにとって憧れだったメジャーは、もはや夢じゃなくリアルになった。『木曽路』の和牛ロースしゃぶしゃぶのようにリアルになっちまったんだ。

 いつの時代もおっさんはシリアスだ。昔、オリックスにいた助っ人はアリアスだ。いやそれもういいから。みんなリアルでシリアスな日常を生きる大人になった。嬉しくて悲しいね。じゃあ、今夜も平成最後の忘年会に行ってくるよ。

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