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「しっかり飯食って、ちゃんと寝ることが重要だ」と森唯斗と中崎翔太は教えてくれた【燃えろ!!デブ野球】第39回

燃えデブ第39回はパ・リーグ最多セーブ森唯斗とカープV3クローザー中崎翔太!

飯食って、風呂入って、寝る。アラフォーになると、このベースが崩れるとキツくなってくる

「もうおネエちゃんのいる店へ行くくらいなら、そのカネと時間で美味い飯を食って寝たいんだよ」

 就職した直後、上司(というか中小制作会社の社長)のおじさんが、さあ次はみんなでキャバクラでも……という仕事終わりの飲み会の途中でそんな台詞を残して帰っていった。ありえへん、飯はコンビニおにぎりで充分じゃねえか……と絶望してレッドブルを一気飲みして腹を壊した軟弱な俺だったが、その10数年後に30代も終わりに近付いた今、あの時の上司の気持ちが少し分かるようになった。

 先日、巨人の高橋由伸監督の辞任が報じられ、いくつかの原稿修正をしている最中に、ガールズバーじゃなく、あえて“うな重”をかき込み銭湯で熱い風呂に浸かった。飯食って、風呂入って、寝る。どんなに忙しいときもこのベースが崩れるとキツイ。20代の頃は仕事に追われると、まず睡眠を削り、風呂から遠ざかり、パンツを表裏に履き回せば2日はいけると思い込み、飯もウイダーinゼリーみたいになってくる。下手したら「忙しいオレ、カッコいい」みたいな自己陶酔も入って来るので救いようがない。仕事に酔わないためにも、時間の流れをぶった切り頭をクリアにする飯や風呂は超重要。なんつって、浅草橋『千葉屋』のうな重を食いながら今週もソウルフードコラム『燃えデブ』が始まった。

岩瀬、山口鉄などレジェンドたちが去るなか、新世代リリーバーとして名前が上がるのがワガママボディのふたり

 それにしても、今年はプロ野球界の名選手の引退が多い。この連載でも何本か惜別コラムを書いているが、最近はやはり一昔前のセ・リーグ2強だった巨人と中日のリリーフ陣が揃ってユニフォームを脱いだことに驚かされた。岩瀬仁紀と浅尾拓也、山口鉄也と西村健太朗といった21世紀を代表するリリーバーたち(なお同時代にヤクルトのブルペンを支えた松岡健一や山本哲哉も引退表明)。前人未到の通算1000登板を達成した岩瀬は43歳だが、09年からの3年間で計218試合に投げまくった浅尾と、12年・13年は計140試合登板で74セーブを挙げた西村はまだ33歳。9年連続60試合登板の山口も34歳の若さだ。身を削りちぎっては投げ、野球生命を完全燃焼させた男たち。

 周りは投げ過ぎと言うが、その働きで今の地位を築き億を越える給料を手にしたのも事実だ。高校球児じゃない、腕一本で生きるプロ。何が幸せか、正解かなんて誰にも分からない。重要なのは、本人が「あれだけ投げたから今がある」と思うか、「あいつの采配のせいで潰された」と恨むか? 元ヤクルトの伊藤智仁は『マウンドに散った天才投手』(松永多佳倫著/河出書房出版社)の中で、こんな印象深い言葉を残している。「プロ野球で一番難しいのが実績を作ることであり、実績を作らないとチャンスがないですから。いかに自分の優先順位を上げていくかという生き残りゲームですね」と。だから、数百試合に投げた彼らは皆、そのサバイバルゲームの勝者と言えるだろう。

 レジェンドたちが去り、次代を担う新世代リリーバーとして名前が挙がるのが、ソフトバンクの2018年パ・リーグ最多セーブ森唯斗だ。森は今季65試合で37セーブ、防御率2.83。球団初の新人から5年連続50試合登板で盟友サファテ不在の穴を埋めた。セ・リーグでは45年振りの3年連続胴上げ投手となった広島クローザー中崎翔太。2010年ドラフト6位から這い上がった中崎は今季68試合で32セーブ、防御率2.71。過去に血行障害に悩まされたこともあったが、この4年間は69→61→59→68登板と無類のタフネスさが武器の九州男児だ。この二人にはいくつか共通点がある。ともに92年生まれで26歳右腕。しかも森は176cm94kg、中崎は186cm100kgと重量級ワガママボディの持ち主である。

選手名鑑ではデブネタを提供してくれる森と中崎。選手の打率よりも、体脂肪率に救われる夜だってある。

 となると、自然に選手名鑑では食べ物&体重等のネタ担当になってくる。例えば手元のSlugger特別編集『プロ野球オール写真選手名鑑』を数年分調べてみると、15年の森は「契約金で漁師の父に漁船をプレゼント」と比較的まともだが、16年の中崎は「本人いわく夏でも食欲は落ちないため、逆に5kg増」。17年の中崎は「昨年1年間で身長が1cm伸びて中性脂肪は半分に」。18年の森が「減量して身体のキレを出すことを目標にしているが、子供と一緒に食べてしまうスナック菓子が障壁に」。なんて毎年たたみかけるように体重レポを繰り返す。新井さんや村田さんがいなくなる球界にとって、彼らのような若くして実力とネタを併せ持つデブピッチャーの存在は貴重だ。

 だって、プロ野球の魅力ってロジカルよりも、アングルだから。俺ら論文が読みたくてスポーツ新聞を買うわけじゃない。選手の打率よりも、体脂肪率に救われる夜だってある。森も中崎も26歳で年俸は1億円越え。投げて食って投げまくり成り上がってきた。ファンはその姿に理屈を越えた感情を抱く。何かを好きになる、応援するってそういうことだと思うよ。損得勘定じゃなくて、誰得感情。感情が常識を越えていくんだ。分かっちゃいるけど好きになっちゃうあの感じ。恋愛だって、アイドルにハマるのだって、プロ野球選手の引退に泣くのだって、人はロジカルで動いてない。

 今日で三連休も終わる。明け方にテレビをつけると、お姉さんがばっちりメイクで天気予報を読んでいる。まだ薄暗い中、近所の吉野屋の店員は最高の牛丼を出してくれた。みんな頑張ってる。いつの時代もタフな人間は周りを元気にする。多くの野球ファンが、マウンド上の森や中崎のタフさに何度も元気を貰った。俺ら何も持ってないんだから、覚悟決めて連投するしかねぇだろ。戦うには、まず体力だ。

 とりあえず、飯食って、しっかり寝ようか。明日も生き残るために。

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