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【燃えろ!!デブ野球】第25回 祝・オールスター選出! テレホーダイ世代は松坂大輔の背中に“平成史”を見た

燃えデブ第25回は12年ぶりのオールスター選出! 37歳の“平成の怪物”が登場!

1998年、松坂大輔が甲子園で“平成の怪物”と呼ばれた年だった

 日本代表にとって、平成6度目のサッカーワールドカップ真っ只中だ。

 確か初出場の1998年フランスW杯は、知り合ったばかりの大学の同級生たちと部屋に集まってデカビタCとポテトチップスを囲みながら、プロジェクターを使って見ていたな…。卒業してから一度も会っていないけど超胡散臭い陶芸家になったらしいあいつは元気にしてるだろうか? なんてノスタルジーに浸りながら分厚い『平成史』(佐藤優・片山杜秀著/小学館)を読んでいたら、平成10年(98年)8月の出来事は『クリントン大統領、実習生とのホワイトハウス内不倫を認める』で、平成11年(99年)4月には『作家・石原慎太郎が東京都知事に当選』と書いてあった。同時に松坂大輔が甲子園で“平成の怪物”と呼ばれた夏であり、日本ハム戦で衝撃の155キロプロデビューを飾った春でもある。

 ソニーからロボット犬アイボが発売され、『ノストラダムスの大予言』の終末思想がガチで語られたあの頃、サッカー日本代表GKの川口能活は「まだインターネットもそれほどやってる人がいなかったので、フランス大会中は外の情報が入ってこなかった」的な発言をどこかでしていた記憶がある。ネット黎明期、23時からのテレホーダイでダイヤルアップ接続して画像表示に3分くらい掛かるあの感じ。俺たちはエロ画像を介して世界の広さを知った最初の世代だ。今後の人生であの“黄金の3分間”を上回る時間に出会うことができるだろうか? デカビタとポテチじゃなく、そば茶屋『信州庵』であっさり野菜天おろし蕎麦を啜りながら、今週も7日に一度のエロジェネレーションコラム『燃えデブ』が始まった。

12年ぶりオールスターにファン投票で選出された松坂

 そんな松坂世代について振り返っていたら、マイナビオールスターゲーム2018のセ・リーグ先発投手部門で中日の松坂大輔が394704票を集め、12年振りにファン投票で選出されたというニュースが飛び込んで来た。やはりルーキーイヤーの1999年に960754票で、それまでの投手部門最多投票記録を塗り替えた男の人気と知名度は伊達じゃない。甲子園の優勝投手が高卒でプロ入りして、入れ替わりの激しいプロ野球界で20年近くファンの注目を集められ続ける選手はほとんどいない。公称183cm、93kg。復活を期して名古屋を新天地に選んだプロ20年目の今季は7試合に投げて、3勝3敗、防御率2.41という数字を残している。

 6月17日、注目された久々の所沢での西武戦登板は試合前に背中を痛め先発回避、現在は出場選手登録を抹消されている。あれだけニュースになって実際に投げたのはたったの7試合というところに驚かされるが、日本4241日ぶり勝利、東京ドームで03年6月以来15年ぶり勝利へ…みたいなマウンドへ上がる度に平成史がついてまわる男。30歳を過ぎてからは、度重なる故障に泣かされ、太り過ぎと揶揄され、メジャーでもソフトバンク時代も「来るぞ来るぞ、今度こそ来るぞ」とファンに期待させておいて、ハイ来ないみたいな黄金パターン。今のソフィスティケートされた球界において、この昭和のプロレスラー感は貴重だ。

離脱中の松坂はオールスターに間に合うのか? もはやそこからDICE-Kワールドは始まっている。

 あらゆるエンターテインメントにおいて重要なのは、予定調和の裏切りだと思う。アントニオ猪木のモハメド・アリ戦から、現代の中邑真輔のヒールターンまでこれは一貫している。松坂は高卒ルーキーが最多勝獲得の禁断のブック破りで世に出て、「自信が確信に変わった」という有名なマイクパフォーマンスで常識を破壊してみせた。10代のベビーフェイスがベテランになってからはある意味ヒールターン、時にいつまで続けるんだとディスられながらも現役に固執しオールスター出場までこぎつけた。

 背番号99に対する「来るぞ来るぞ、今度こそ来る」ってこの感じはテレホーダイで巨大なパソコンの前にワクワクしながら座っていた20年前の感覚に近い。なんだかよく分からない予測不能なものを見てみたい。ファンもアンチも次になにをやるのか期待してしまう。果たして、離脱中の松坂はオールスターに間に合うのか? もはやそこからDICE-Kワールドは始まっている。あの大物レスラーは本当に来日するのか的なワクワクドキドキストーリー。不謹慎だとおばさんみたいなおじさんに怒られるかもしれないが、俺たちはこの夏のオールスターで、エロ画像を待っていた“黄金の3分間”を上回る時間に出会うことができるだろうか?
 
 平成はもうすぐ終わるが、ひとつ注目していることがある。“昭和の怪物”江川卓、“平成の怪物”松坂大輔のように甲子園で活躍した超高校級投手に「怪物」と名付ける文化はいつまで許されるのだろう? 次の元号でスーパーな高校球児が出現しても「高校生に怪物なんてコンプライアンス的にアウト」とか言われてしまう可能性も高い。ちなみに大谷翔平は“二刀流”という独自のアングルで怪物の向こう側へと旅立った。

 もしかしたら、最後に“怪物”と呼ばれた野球選手は松坂大輔になるのかもしれない。

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