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1995年の安室奈美恵と福留孝介「アムラー&ドメラー世代」の今【燃えろ!!デブ野球】第65回

燃えデブ第65回はセ・リーグ最年長野手の阪神タイガース福留孝介!

人はテレビのワイドショーの類いを拒否することで精神のおばさん化は意識的に回避できるが、おじさん化は無意識だ。

「夜飯にコンビニ弁当は、アリかナシか? 梨田昌孝か?」

 同年代の野郎同士の飲み会でそんな話題になった。一人暮らしで面倒くさくなって深夜にワンルームマンションで食うのと、嫁さんが唐突にコンビニ弁当を夜飯に出して来るのとはまた意味が全然違うよね……ってかなりどうでもいい議論である。ちなみに俺は昼飯ならコンビニ弁当でいいけど夜はしっかり食べたい派だ。せめてデパ地下の弁当がモアベター。風呂が命の洗濯なら、食事と睡眠はいい仕事をするためのガソリンでしょなんて話ながら、これ会話内容が完全に中年男だなとふと思う。

 人はテレビのワイドショーの類いを拒否することで精神のおばさん化は意識的に回避できるが、おじさん化は無意識だ。生きてる限り逃れようがない。何の切実さもないカミングアウトだが、俺はここ最近、雨の日も風の日もいつも静かに“青汁”を飲んでいる。子どもの頃、なんで大人はあんな不味そうなもの飲んでんだろうと謎だったが、気が付いたら自分がそんなアラフォー男になってるリアル。いやぁフルーツ青汁は牛乳に溶かすと飲みやすいんだよ……なんつって『日高屋』で大宮担々麺をかっ食らいながら今週もフルーツコラム『燃えデブ』が始まった。

プロ野球選手を尊敬してる。日本中を遠征で飛び回り、移動日なしの連戦もザラだ。自分には絶対にできない。

 正直に書くと、最近は野球を見ていても、金曜ナイター、土曜デーケームだと起きるのが結構キツい。朝まで原稿書いて最低7時間は寝たいとかほざいてると週末14時のプレーボールに間に合わない諸行無常。事前にチケットを買っても東京ドームへ行けなかったことは何度もある。誰だって体力は衰える。今シーズン、連載数を一気に減らしたのも「40代に突入してもこのままのペースで書き続けていたら確実にイ○ポになるし早死にする」と股間と生命の危険を感じたからだ。個人事業主、無茶な連投で肩をぶっ壊しても誰も面倒を見てくれない。無理と感じたら自ら退くのも中年プロとして生き残る術だと思う。あれだけタフな破壊王・橋本真也ですら40歳の若さで亡くなっちまった。

 なんだか暗い話になってきたが、だからプロ野球選手を尊敬してる。新幹線や飛行機で日本中を遠征で飛び回り、移動日なしの連戦もザラだ。ナイターとデーゲームも余裕でこなす。自分には絶対にできない。そこで阪神タイガースの福留孝介である。日米通算2321安打はNPB通算に組み込むと12位落合博満2371安打、13位川上哲治2351安打、14位山本浩二2339安打に次ぐ歴代15位にランクイン。もはや完全にレジェンドの仲間入りを果たした77年生まれの福留は4月26日で42歳を迎える。PL学園の主砲として甲子園を沸かせ、95年ドラフト会議では先輩・清原を上回る高校生史上最多の7球団が1位競合(2017年の清宮幸太郎も7球団競合)。当たりくじを引いた近鉄の佐々木恭介監督が「ヨッシャー!」と絶叫したのは今でも語り草だ。

 手元にある『キーワードで見る! 平成カルチャー30年史』(三栄書房)を確認すると、1995年(平成7年)は1月の阪神・淡路大震災、3月の地下鉄サリン事件という未曾有の出来事に襲われ、ドジャースの野茂英雄がメジャー1年目でトルネード旋風を巻き起こし、秋には「Windows95」が発売され“インターネット元年”と盛り上がった。トヨエツこと豊川悦司人気が爆発したドラマ『愛していると言ってくれ』の主題歌、ドリカムの『LOVE LOVE LOVE』のCD売上げ230万枚突破。アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の放送開始。そして、安室奈美恵が歌う『Body Feels EXIT』や『Chase the Chance』の小室哲哉プロデュース曲が女子高生たちの間で人気となる。

安室奈美恵は福留と同い年だ。アムラーとドメラー。世代の男女のトップランナーはこのふたりだった。

 安室奈美恵は1977年9月生まれ。つまり福留と同い年だ。平成7年、混沌とした日本列島に希望の光を灯した18歳の煌めく才能。世代の男女のトップランナーはこのふたりだった。アムラーとドメラー。そうドメラー……あんたこれが書きたかっただけじゃねえかなんて突っ込みは野暮だろう。安室は平成の終わりを待たず引退してしまったが、福留はいまだ現役だ。セ・リーグ最年長野手は適度な休養日を挟みつつ、今季も試合に出続けることだろう。安室は人気絶頂の97年にハタチのできちゃった婚を電撃発表。福留も近鉄サイドのどんなに美味しい条件提示にも頑なに応じることなく、社会人野球の日本生命へと進む。バブル崩壊後のニッポンにおいて、大人たちの世界が揺らぐ中、それぞれ断固たる意志で己の道を突き進んだわけだ。
 
 当時、そんな安室のファッションを真似たコギャルたちを“アムラー”と呼んだが、確かに自分が通っていた埼玉の田舎町の高校にもそういう女子はいた。じゃあ、同時期に男子はどうしていたかと言うと、歳の近い福留パイセンが大人の世界とタイマンを張っている姿に、少しだけ勇気を貰った。まるで彼女たちが安室の『SWEET 19 BLUES』に生きる元気を貰ったようにだ。すでにスーパースターだったオリックスのイチローがメディアを通して「一緒に球界を盛り上げよう。運命に従った方がいい」と近鉄に援護射撃コメントを出すも、福留は「ドラフトでこういう結果になって、それで社会人への道を選ぶ。これも運命に従うということだと思います」なんて堂々とアンサーソング。あれから20年以上経過、大ベテラン選手になっても一塁転向を拒否して不意打ちのスキャンダルにもめげず、昨季もチームトップの72打点とバットで結果を出す虎の頑固者は健在だ。

 今の球界では珍しいオレ竜スラッガーの生き残り。そして、あの頃の未来に立つ“元ドメラー”のアラフォー男たちも令和の時代で生き残ろうとみんなサバイバルし続けている。

 時にたくましく、冷めたコンビニ弁当でも食らいながら。

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