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さらば、平成プロ野球【燃えろ!!デブ野球】第66回

燃えデブ第66回は令和突入を前に平成プロ野球鎮魂歌!

よく失われた10年とか20年とか言うけど、逆に平成でよくなったものだって絶対にある。

 いい時代になったなと思う。

 以前は大型連休中のプロ野球は怒濤の連戦に入るので、ほとんど球場以外は外出はできなかった。それが、今はDAZNで移動中も野球が見れる。東京ドームの巨人戦をスマホで楽しみながら電車に揺られてガタガタゴー。大型連休で実家に顔出すのはいつ以来だろうと思いながら、任天堂バーチャルコンソールでダウンロードした『パイロットウイングス』と『ファミコン探偵倶楽部』で遊んで、BSでやってたシュワルツェネッガー主演の『バトルランナー』を見て、姪っ子とスーファミの『スーパーボンバーマン』で対戦して、深夜のスカパー!オンデマンドで『プロ野球ニュース』で1日を締めた。

 よく失われた10年とか20年とか言うけど、逆に平成でよくなったものだって絶対にある。娯楽は圧倒的に手軽に便利になった。“今”と“過去”が均等に並べられ最新作も90年代の名作もいくらでも楽しめる。例えば、新幹線の中から薄い画面で個人がプロ野球中継をライブ映像で見れるなんて平成初期の小学生の自分に教えたら、「最高の未来じゃんおっさん!」って絶叫すると思うんだよ。その感覚っていうのは絶対に忘れないでいたいよね。ガキの頃は夢だった宅配ピザも大人になればいくらでも食えるし……なんつって『ピザハット』で直火焼テリヤキチキンやピザハットミックスが集結したピザ業界のアベンジャーズこと“おいしみ4”とシーザーサラダを頬張りながら、今週もアイダホ風コラム『燃えデブ』が始まった。

平成があと数十時間で終わる前に、平成プロ野球とはなんだったのか振り返って見ようと思う。

 さて、このコラムは平成があと数十時間で終わる4月29日の昼過ぎに書いている。よく「前の元号は変わる時はどんな感じでしたか?」と年下の後輩に聞かれて、真顔で「いや、俺も小さかったしよく覚えてないんだよね」なんて答えて、うわこのおっさん使えねえな……なんて軽蔑されるやりとりが日本中のいたるところで繰り返されるマジで令和突入5秒前。その前に、平成プロ野球とはなんだったのか振り返って見ようと思う。

 元も子もない言い方をすると、平成初期というか、90年代初頭の球界の注目度やメディア露出は巨人のひとり勝ち状態だった。もちろん広島におけるカープや大阪の阪神人気は当時も高かったが、今は地元近くに球団がある北海道や東北や九州において巨人人気はまだ圧倒的なものがあった。いわゆるひとつの“日本全国がホームタウン”という異常な状況だ。吉村禎章の劇的サヨナラ弾でリーグ優勝を決めた1990年(平成2年)には、その歓喜の瞬間を見届けようと当時の超トップアイドル宮沢りえが東京ドームへ駆け付けたという。しかも彼女は川相昌弘の大ファンだった。これを強引に現代に置き換えると、広瀬すずが巨人の試合を見るために『なつぞら』の収録を抜け出し球場へ向い、しかもすずちゃんが山本泰寛の熱狂的ファンみたいなものだ。まるでギャグだが、そのギャグがガチで成立していたのが平成初期のプロ野球というか、当時の巨人人気のリアルである。

 それが1999年(平成11年)12月発売の村上龍『奇跡的なカタルシス フィジカル・インテンシティ2』の中では、サッカーについてのコラムが並ぶ中で「高橋由伸はものすごい選手だ」と書かれる文章がある。
「高橋の魅力は打撃だけではない。足も速いし、守備もうまいし、肩も強い。さらに日本一の人気球団の選手で初球から打っていく積極性もあり、マスコミの受けも悪くないようだし、マスクもいい」と絶賛しながらも、村上龍はこうも書くのだ。「だが、創刊される男性誌のロングインタビューに登場したり、テレビのニュースショーに特別ゲストで登場することもない。十年前、いや二十年前だったら、高橋は間違いなくスーパーヒーローになっていただろう」と。

プロ野球は平成という時代を生き抜いた。いや正確に言えば、昭和の貯金を使いきりながら突っ走ったとも言える状況だ。

 今から20年前の99年の時点で、こういう状況だったのだ。あれなんかちょっと世の中が変わりつつあるぞと。中田ヒデみたいなタイプのアスリートも出てきたしみたいな。それでも振り返ると、平成のプロ野球は、なんだかんだ昭和のプロ野球をベースに語ることができた。ゴジラ松井や由伸を長嶋茂雄監督を入口に知ったファンも多かった。松井秀喜は間違いなく平成を代表するスラッガーだが、ミスターとの“4番1000日計画”のアングルがなければ、あそこまでの幅広い人気を得ることはなかったと思う。となると、令和のプロ野球は平成のプロ野球をベースに……って、今、東京では平成初期のピーク時と比較するとプロ野球への関心度は恐ろしく低い。要は長嶋茂雄ブランドのように誰もが知っているような「共通の文脈」がないのである。この連載でも何度か書いているように、球界もジャンルの細分化だ。よく言えば至極真っ当な12球団フラットなNPBバーチャルコンソール状態だし、デメリットを挙げればあの頃の巨人のようにファンとアンチを連れてくる巨大な世間への入口が消えた。そう遠くない未来、出版業界と同じでジャイアンツバブル全盛の「異常に景気が良かった80~90年代」をベースに語ることが通用しなくなるだろう。それはつまり、「あの頃は良かった」という文脈が通用しなくなるということだ。

 サッカーのJリーグが始まり、あらゆるスポーツが世界を舞台に戦う中、プロ野球は平成という時代を生き抜いた。いや正確に言えば、昭和の貯金を使いきりながら突っ走ったとも言える状況だ。だから次の令和にこそ、平成プロ野球の真価が問われる。あの頃は良かった? いや、その拠り所となる「あの頃」がじき消える。ヤバイっすこれマジヤバイっす。正直、我々おっさんには恐怖である。過去や未来じゃなく、今を生きろってことだから。けど、腹を括って令和に行くしかないんだよ。

 さらば、平成プロ野球。感謝と覚悟を胸に明日は東京ドームへ行って来ようと思う

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