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新井さんと村田さん引退「ゲッツーを楽しむ、それは人生における無駄を楽しむということだ」【燃えろ!!デブ野球】 第35回

燃えデブ第35回は今季限りで現役を退く新井貴浩と村田修一への鎮魂歌!

このコラムは村田修一のラストゲームを観に栃木へ行く数時間前に書いている

 フジテレビの27時間テレビはいつから生放送じゃなくなったんだ?

 確かわざとさんまの愛車をぶつける、ビートたけしの姿に爆笑したのは中学生の頃か生まれる前か…と自分の年齢を考えさせられる広島カープ新井貴浩の現役引退発表だった。しかも、このコラムは村田修一のラストゲームを観に栃木へ行く数時間前に書いている。41歳と37歳の引き際の美学。甲子園の高校球児が全員年下になった夏とはまた別のベクトルで、やっぱり自分と同世代のプロ野球選手が引退すると、色々と沁みる。悲しさを通り越して、その甘酸っぱさが心に沁みるのである。仕事でミスった帰り道にサイゼリヤで食う微妙に冷めたミートソースくらい沁みるぜ…なんつって今週もボロニア風コラム『燃えデブ』が始まった。

 村田ファイナルを前に、さっきまで仕事場の片付けをしていた。過去の村田関連の資料をひとつひとつ整理したかったのである。巨人移籍前年に澤村から打ったホームランを報じるスポーツ報知とか、東京ドームで配布した25番のプレイヤーズデープログラムとか、気が付けば『スラムダンク』を読んでいた…っていやそれはダメだろう。なぜ人はテスト勉強中とか、部屋の掃除中にやたらと漫画を読みたくなるのだろうか。しかも過去に幾度となく読んできたコミックスを、だ。

そして、ただデカイだけじゃなかった、新井さんも引退

 スラムダンク20巻では、陵南高校のセンター魚住純がライバルの赤木剛憲に対する、こんな想いを吐露する。

“「ただデカいだけ」そう思われるのだけは許せなかった”

「身長199cmの魚住は自分よりデカいがただそれだけのこと」なんて思われているかもと考えると、いてもたってもいられず一から足腰を鍛え直すのである。アスリートにとって、身体のサイズは時に武器にもなるが、足枷にもなる。周囲の評価もデカくてパワーはありそうだけど、不器用で動きは鈍いだろみたいな例のアレだ。そう言えば、新井さんも入団時はそういう評価をされていた選手のひとりだ。98年ドラフト6位で駒澤大学から広島入り。身長189cmの大型内野手も荒削りな打撃で守備に難あり。新井の2000安打達成時の祝福コメントでは、そんな若手時代の不器用さを懐かしそうに回想する先輩も多かった。練習の虫、努力の積み重ね。本人も引退会見において「大したセンスもないし、練習することでここまで来れた」と謙遜して言う。

 けど、ルーキーイヤーに1軍で7本塁打を放ち、同年フレッシュオールスターで優秀選手賞を獲得。2年目には16本塁打と順調に結果を出していたのも事実だ。ただのでくの坊なんかじゃなかった。引退試合ではなく、残り試合が日本全国引退ロードになることに突っ込むOBもいるかもしれない。でも元も子もない言い方をすると、引退ビジネスは現場にカネを落とす。グッズは売れる。ファンも喜ぶ。メディアではネタになる。プロ野球が興行である以上、これらは無視できない。同じようにCS制度廃止案も気持ちは分からなくないが、それに代わる“消化試合でも盛り上がる代替案”はあるだろうか? 今の世の中、食い逃げよろしく、否定逃げが激増中。とりあえず、何かに文句を言う。批難する。で、そのまま。「この飯、不味いぞ」と嫁の手料理にケチつけても、決して自分で作ろうとはしない昭和のお父さんのようである。

世の中に怒り狂う前に、新井さんと村田さんのゲッツーを思い出そうよ

 ゴメン、話が逸れた。新井さんはNPB通算319本塁打、242併殺。村田さんは360本塁打、208併殺。そのホームランだけでなく、ツラゲと芸術的ゲッツーでも球場を湧かせた。彼らが去った球界で、俺らはこれからプロ野球を見るにあたって「ゲッツーを楽しむ」ことができるだろうか? いつでもどんな時でもその心の余裕を持つことができるだろうか? ゲッツーを楽しむ、それは人生における無駄を楽しむということだ。もちろん、痛恨の失敗を笑い飛ばすことでもある。そして、もちろん次の打席で挽回の逆転ホームランを狙いにいく。

 最近は日常の嗜好品レベルで、ここ数年楽しんでいたSNSを使う時間が激減している。で、今まで麻痺していたが、自分の記事拡散時にふとTwitterのタイムラインを見ると「なんで世の中にはこんなにいつも怒ってる人が多いのだろう?」と普通にビビる。息を吐くように何かをディスり続ける人もいる。で、思うわけだ。俺はこんな風に怒り狂いそうになったら、ゲッツーを笑っていたあの頃を思い出そうと。

 球場で見た新井さんや村田さんの勇姿を思い出そうってね。

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